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太りすぎ妊婦と妊娠中毒症

 妊娠にともなって、むくみ(浮腫)、高血圧、蛋白尿を起こす状態を、妊娠中毒症と呼びます。妊娠中毒症が悪化すると、突然に胎盤が剥がれ落ちて赤ちゃんだけでなく、おかあさんも死亡したり、肺に水がたまり呼吸ができなくなったり、脳出血や痙攣を起こすことがあります。妊婦にとって妊娠中毒症は命に関る最も恐ろしい病気のひとつです。

  妊娠中毒症の原因は明らかではなく、学説の疾患とも呼ばれるほど数多くの原因説があります。最近では、血管の収縮や血小板の凝集に関与する物質(プロスタグランディン)や血管を収縮させる物質(NO)などの産生のアンバランスが、その原因ではないかと言われていますが明らかではありません。また、面白い事に、カルシウムが不足気味の日本人では、カルシウム剤を服用すると、妊娠中毒症発症の予防する事ができる事が分かっています。さらに、遺伝子レベルでの研究も行われるようになり、今後ももっと多くの学説が出てくるものと予想されます。

  このように妊娠中毒症は原因が明らかとなっていないので、根本的な治療はなかなか難しく、いったん発症してしまうと母児ともに死亡する事もあるわけですから、経験論に基づく予防がこの疾患のポイントになってきます。それでは、どんな妊婦さんが妊娠中毒症になりやすいのでしょう。体重の増加が異常に多すぎる妊婦さんは、普通の体重増加の妊婦さんに比べて明らかに多く発症します。カロリー控えめで塩分の少ない食事を心がけてください。睡眠や休息は十分に取る必要がありますが、早期発見するためには妊婦検診を医師の指示通りに受ける事が重要です。日常生活の改善でも良くならない時には、入院して加療する事があります。妊娠中毒症がひどくなると胎児の体重増加が悪く、子宮内胎児発育遅延と呼ばれる体重の少ない赤ちゃんになる事があります。胎児胎盤機能検査で赤ちゃんの状態が悪い時には、帝王切開による分娩になる事もあります。

  妊娠中毒症自体は妊娠が終わってしまえば治ってしまう病気ですから、予防することを第一に心がけることが重要です。いいかえれば、妊娠中に食欲に任せて食べ過ぎない、睡眠不足や疲労をためる事がないような正しい習慣を持つ事が大事です。

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