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性器ヘルペス感染症と妊娠

  性に対する考え方の変化にともなって、性感染症が若い女性の間に急速に増えつつあります。性器ヘルペスもそのひとつですが、感染して数年たってから、あるいは十数年たってから症状が出る事があります。原因が今のパートナーにあるとは限らないのですが、お産のときの初感染や再発は赤ちゃんにとって致死的なことがあり、これを避けるために帝王切開になることがあります。

  熱を出したり、体調が悪かったりする時に唇に水ぶくれ(水疱)を作るようなウイルスが単純ヘルペスウイルスです。このウイルスが、性交渉などで陰部に感染した時に性器ヘルペスが発症します。このウイルスには2つのタイプがあり、1型は主に唇を含む上半身に、2型は陰部を含む下半身に症状をもたらします。しかし、どちらでも性器ヘルペスの原因となります。

  ヘルペスウイルスに感染しても、80~90%の人はすぐには症状が現れません。感染してから数年後あるいは十数年後に症状が出る場合もありますから、今のパートナーに原因があるとは限りません。ただ、なかにはこのウイルスに感染後、数日で症状が出る人もいます。このときは症状が大変おもく、水疱、潰瘍、いたみがとてもひどい事があります。また、治ってしまうまでに、2~3週間と長めです。

  いったん体のなかに入り込んだウイルスは、神経の中に住みつき、体に備わった抵抗力や薬などによっても完全に追い出す事はできません。そして時々思い出したように、再発・再燃を繰り返します。特に、過労や風邪、ストレス、紫外線、月経などで体の抵抗力が落ちると、ウイルスが活動しやすくなって再発のきっかけとなります。日ごろから十分な栄養を取り、ストレスや疲れをためないように心がける事が大切です。再発を繰り返すうちに症状は軽くなってきます。水疱や潰瘍の数は少なくなり、いたみも軽くなってきますし、治癒までの時間も短くなってきます。皮膚症状が出ていない時には感染することは、まずありませんが、皮膚症状があるときにはウイルスが活動している証拠ですから、性交渉は避けるようにしましょう。

  最後に大変重要な事に、お産の時に性器ヘルペスがあると産道で赤ちゃんに感染し、せっかく育った赤ちゃんがヘルペス脳炎などで死亡する事があります。これを避けるために、性器ヘルペスのあるお母さんの分娩は帝王切開になる事があります。

  将来、健やかな赤ちゃんを育むためにも、若い時に無防備な性交渉をする事がないよう正しい性感染症の知識を持っておきましょう。

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