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ホルモン補充療法の副作用

-脳卒中や冠動脈疾患になりやすい事が明らかになりました。-

  HRT(ホルモン補充療法)が更年期障害や閉経後の生活の質を良くすることについては、以前にも述べた事がありますが、アメリカの国立衛生研究所(NIH)の研究による最新の結果が先月発表されました。

  この報告は、プレマリンとプロゲステロンの両剤を、約5年間服用している約16000人の50才から79才の婦人について、冠動脈疾患、脳卒中、乳癌、肺塞栓症、子宮内膜癌、大腸癌、大腿骨骨折ならびにその他の原因による死亡について検討しています。その結果

1) HRTにより危険性が高くなるもの:
   乳癌が1.26倍。心筋梗塞が1.29倍。脳卒中が  1.41倍。肺梗塞が2.13倍増加しました。

2) HRTにより危険性が低くなるもの:
   大腸癌が0.63倍。大腿骨骨折が0.66倍。  危険性が減少しました。

3) HRTにより変化のないもの:
   子宮内膜癌が0.83倍。その他の原因での死亡  が0.92倍と変化がありませんでした。また、冠動脈疾患、肺梗塞は投与後すぐから、脳卒中は投与1~2年後から、乳癌は4年後から危険性が増加しています。大腿骨骨折では投与後すぐから、大腸癌では投与後3年から減少しています。また、総死亡率には差を認めませんでしたので、これらのリスクは非常にわずかであり、一人一人の女性に与える影響は極めて少ないと考えられますが、日本産婦人医会は以下のような指針を提示しています(平成14年7月24日)。1)4~5年以上HRTを行っている場合には、心疾患、脳卒中などに十分注意し、健診を定期的に受けるよう指導する事。2)長期間の服用を開始する場合にはリスクと有用性について患者さんとよく相談して決定する事。冠動脈疾患の予防や大腸癌の予防としてはHRTは不適切です。3)更年期障害の治療のための短期間であればHRTを行ってよいと考えられますが、この場合でも患者さんと相談して決めるようにする事が重要です。現在、HRTを受けている方は、主治医とよく相談し、詳しく説明をもう一度受けましょう。

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