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加齢と分娩ー高齢初産は難産になりやすいか?

  日本では35歳以上の初めてのお産を高齢初産と定義しています。以前から、高齢初産では異常妊娠、異常分娩、あるいは胎児異常の頻度が増加すると言われています。しかしながら、これらの報告は比較的古いものが多く、最新の産科機器や検査方法の進歩により変化している可能性があります。また、女性の社会進出や晩婚化、少子化、また不妊治療の普及により高年初産婦人は増加傾向にあります。本当に高齢初産は難産になりやすいのでしょうか? 今回は、東北大学医学部産婦人科の報告についてご紹介いたします。

  平成9年から3年間の東北大学病院で分娩した20歳以上の初産婦人の782名について調べてあります。早産や多胎妊娠(双子以上の妊娠)は除いてあります。

まず、分娩様式については、経膣分娩は帝王切開に比べ年齢とともに減少しており、35歳以上では55.2%が経膣分娩でした。吸引分娩は、20歳代、30歳代でほぼ19%なのに比べて、35歳以上では34.0%と増加しています。分娩所要時間は35歳以上でも、長びく事なく、差はありませんでした。出血量も差は認められていません。産道裂傷(お産のときに産道が裂けたりすること)についても、同じく差はありませんでした。出生した赤ちゃんの体重と元気さ(アプガースコア)についても、差がないことが明らかとなりました。

  以上のことについてまとめると、加齢により分娩所要時間が延長する傾向はあるものの、統計学的な差はなく、この原因は、年齢差によるものではなくむしろ産道の状態による個体差(個人差)がはるかに大きいと推測されます。また、分娩時の出血量においても、1000ml以上の出血した割合が多かったものの、統計学的には差はありませんでした。帝王切開をした理由について調べてみると、骨盤位など胎位の異常が主な理由である事が多く、分娩の異常や胎児の異常(胎児仮死など)に差はありませんでした。産科の医療水準が向上してきている事により、高齢初産は増加傾向にありますが、画一的な管理ではなくて、個々の産婦に応じた扱いが必要である事が明らかとなりました。

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