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癌検診で異常がなかったら安心か?

  子宮頸癌検診や子宮体部(内膜)癌検診さらには乳癌検診で異常がないと診断されたのに、その後に癌になった症例がありうることをご存知でしょうか。

  検査と称されるものにはどんなものでも限界があります。どんな検査にも偽陽性(癌でないのに癌という結果)と偽陰性(癌なのに癌でないという結果)とがあり、世の中に100%正しい検査方法は存在しません。これらの事は理系(医学的あるいは科学的)分野では常識ですが、一般の方にはなかなか理解ができない点です。それでは具体的に検査の限界とは何なのかについて説明しましょう。

● 子宮頸癌は95%、子宮体癌は60%の正診率

  まず、子宮頸癌検診は、子宮の下のほうで子宮内膜と腟の組織の接する部分を扁平円柱上皮接合部と呼び、ここの細胞を採取して検査します。一般的な子宮頸癌の発生する場所です。性成熟期にはこの接合部が卵巣から分泌される女性ホルモンの影響を受けて子宮の腟部のほうに外反している(子宮腟部びらん)ために、仮にがん細胞があれば簡単に綿棒等で採取する事が可能です。したがって、子宮頸部細胞診の正診率(子宮癌の人100人がこの検査で何人癌だと診断できるか)は95%と高い値を確保する事ができます。

  ところが、子宮内膜癌検診になると、子宮の中のどこに癌が発生しているかによって、うまく癌細胞が採取できる時とそうでないときがありますから、正診率は60~70%に低下します。

  この他にもがん細胞の種類によっても癌検診で見つけにくいタイプや子宮の筋肉の中に発生する肉腫などでは、癌検診では分からない事があります。このように、がん細胞のタイプによっても発見率は大きく違ってきます。

● 乳癌検診では必ずマンモグラフィーを受けましょう

  乳癌では、現在の日本のほとんどで行われている触診のみによる乳癌検診では分からない癌がはしばしばあります。欧米先進諸外国では、乳癌検診に必ず乳房のレントゲン写真(マンモグラフィー)を施行しています。乳房の超音波検査では異常がなくてもマンモグラフィーで明らかに異常があったり、またその逆の事もあり、触診では乳房に腫瘤がないのにマンモグラフィーでは癌が発見された例などもありますから、触診だけでの乳癌検診では本当の検診とは言えないのではないでしょうか?ところがマンモグラフィー検査自体が、大きな総合病院にしか設置されていませんから、あまり普通の診療所では検査を受けることができないのも事実です。

  癌検診で異常なしという結論が出たからといっても、今回の検査の結果には異常が認めれなかっただけで、100%癌の存在がわかる訳ではないことを理解しておきましょう。結果が異常なしだからといって、決して油断する事がない様に、乳房の自己検診は毎日欠かさず、必ずマンモグラフィーを受けましょう。子宮癌検診も年に一度は受けることが大切です。

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