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はしかと妊娠

妊婦のはしかは流早産の恐れがあります。  最近、麻疹(はしか)が全国的に流行しています。麻疹にかかった妊婦さんは流早産しやすく、妊婦さん自身も脳炎など重症化することもあります。

-最近、麻疹が流行しているのはなぜですか?

 麻疹の予防接種は1978年に定期接種になり、今では約9割の子供たちはワクチンを受けています。しかしながら、それ以前は任意摂取であったために約3割しかワクチンの摂取を受けていません。

 今年の春から、各地で大学生や高校生の麻疹集団発生が起こっています。この理由は、現在の高校生や大学生が子供の頃に、予防接種による副作用が原因で死亡事故が発生したために、予防接種を控えたり、きちんと2回摂取しない人が多かったためと考えられています。 2001年の大流行の時には、患者数27万人、死亡者数100人弱でしたが、現在は、これを超える勢いで患者が増え続けています。

-妊婦が麻疹にかかるとどうなりますか?

 妊婦が麻疹にかかると非妊娠女性に比べて重症化しやすいことが分かっています。妊婦が麻疹にかかった場合、肺炎の発症は2.6倍、死亡率は6.4倍と高くなります。また、流早産しやすく、麻疹にかかった妊婦さんの3割が流早産します。しかも、90%は母体に発疹が出現して2週間以内に流早産となります。しかし、風疹のように先天性の奇形を生じる率は低いことが分かっています。

さらに、分娩後、おかあさんが麻疹に感染する症例では、生まれたばかりの赤ちゃんにも抵抗力がなく、赤ちゃんの麻疹予防にはガンマグロブリン製剤の投与が有効とされています。つまり、抗体のない母親から生まれた新生児が1から2才までに麻疹に感染すると、重症化することが多のです。

-妊婦さんが注意すべきポイントはなんですか?

 妊婦は麻疹の流行に注意し、人混みに出るときにはマスクをするなどの注意を払いましょう。また、麻疹にかかったかなと思ったら、放置しないで医療機関を必ず受診しましょう。麻疹ワクチンは生ワクチンのために妊婦には摂取できません。いまだ麻疹にかかっていない妊婦、すなわち麻疹の抗体を持っていない妊婦は、出産後早期に麻疹ワクチンの接種を受けておきましょう。

 ワクチンさえ摂取すれば防げる病気で苦しんだり、死亡することほど残念なことはありません。はしかに限らず、日本は予防接種制度の不備のために多くの子供や妊婦の健康な命が失われているのです。国による予防摂取制度の改正を強く希望します。

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