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田舎でお産をすることのリスク(熊本のお産の現実)

-お産が終わった後に出血が止まらないことがあるのですか?

 お産や帝王切開が終わってから、2時間までの間が最もいろいろな異常が起きやすい時なのです。2時間後までに異常がないことが確認できてから、はじめて正常分娩と呼ぶことができるのです。

 この2時間内に子宮の収縮が極度に悪く出血が止まらなかったり(弛緩性出血)、産道の傷のために(産道裂傷)出血が止まらなくなる事があります。妊婦健診で、日頃から貧血の治療をするのはこのためなのです。

-どんな治療をするのでしょうか?

まず、子宮の収縮が悪いときには、子宮の輪状マッサージや子宮収縮剤を投与します。オキシトシンやプロスタグランディンなど子宮を収縮させる薬剤投与によって、弛緩した子宮筋を収縮させて、子宮の筋肉の間を走行している血管を止血してしまうのです。これを生物学的止血と呼びます。産道の損傷や帝王切開後の出血に関しては、その出血部位を見つけて、縫合することにより止血を試みますが、なかなかうまくいかないこともしばしばです。

-その治療でも出血が止まらないときはどうするのでしょうか?

これらの治療を試みてうまくいかないときには、以前でしたら子宮を取ってしまう事が行われてきました。しかし最近では、X線で血管造影で透視をしながら選択的に子宮動脈を止めてしまう方法(塞栓術)があります。放射線科の先生によるX線透視下に、子宮動脈を見つけジェルフォームと言う物質で一時的に血流を止める方法です。経験を積んだ医師であれば、比較的短時間での止血が可能です。

-その治療はどこの病院でも受ける事が可能ですか?

 残念ながら、放射線科と産婦人科がともにあり、さらに透視のできる設備の整った総合病院は限られています。
熊本県の場合では、今のところ熊本市内の国立医療センター(国立熊本病院)、熊本赤十字病院、熊本大学病院の3つの病院でしか施行されていません。

-結論です。

田舎でのお産をすると言うことは、時に子宮を取ってしまわなければ命が助からない事があるわけです。特に初産であれば、その後の妊娠、分娩は不可能なります。都会で生んで、田舎へ帰る事が望ましいでしょう。

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