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見直されるホルモン補充療法(HRT)

加齢とともに減少したホルモンを補い、ホルモン不足によるほてりやイライラ、肩こり、不眠を改善するのがホルモン補充療法(HRT)です。HRTによって乳癌になりやすいとの報告が出たために日本ではわずか2%の人しか治療を受けていません。しかし経皮的な投与法で副作用が少なくなり見直されています。

-ホルモン補充療法は乳癌、脳卒中、肺梗塞等になりやすいと聞きましたが?

 過去に報告された乳癌や子宮体癌、脳卒中、肺梗塞になりやすいとされたホルモン補充療法の症例の選択には、大変な偏りがあった事が分かりました。まず、症例の平均年令は63才以上の高齢であり、すでに閉経から10年以上経過している症例も多く存在していました。さらに心臓疾患があった症例や、かなりの肥満症例も多数は入っていました。従って乳癌やその他の副作用がすべてHRTのためとは考えにくいようです。また、投与方法はすべて内服薬による治療でした。

-最近のホルモン補充療法は今までのと何がちがうのですか?

大きく変わったのはホルモンの投与方法です。現在では湿布のようにホルモン剤の入った張り薬や、クリーム状になった塗り薬として皮膚から直接吸収されるタイプのホルモンに変わりました。
この方法では肺梗塞など血栓症を増やさないことが明らかとなりました。また、日本人では乳癌症例は減少しているとの報告や乳癌にかかるリスクは上昇しているが、死亡率は変わらないとの報告もあります。

-それでは、ホルモン補充療法はいつまでも続けて良いのでしょうか?

5年以上の継続は乳癌のリスクが増えてくることが分かっています。5年を超える加療にかかわらず、必ず子宮体癌検診、乳癌検診などを併用しながら慎重に行うことが大事でしょう。さらに子宮体癌予防のための黄体ホルモンの服用も重要です。

-最後にホルモン補充療法を受けるときに注意すべき点は何でしょうか?

 今までの報告は副作用の乳癌に関して無用な不安をあおりすぎたようです。しかし子宮体癌検診や乳癌検診を受けながらHRTを受けることは推奨されるべきでしょう。きちんと正しい使用方法、きめ細かい管理をしていくことが重要です。

 加齢に伴い質の良い生活を送ることが大きな目標ですから、副作用で困ったり我慢しなければ続けられないようであれば中止しましょう。

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