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性感染症の診断と誤解

陰性でも安心できない時と陽性でも心配ないとき

 熊本県ではこの1年間に新しいエイズ患者(感染者と発症者)が9人増えました。この患者数は氷山の一角ですから、もっと多くの感染者(発病していない人たち)がいると推察されます。エイズ研究も進み今では発病する前に感染を知ることができれば、薬剤治療により発病することなく、生存期間は健康な人と変わらなくなると言われています。9月下旬から熊本県では多くの若い人たちが、気軽に検査を受けることができる様にメールでのエイズ検査予約システムを開始予定とのことです。

 性感染症の診断法については、以下のことを知っておきましょう。

エイズに感染しているかどうかの診断は、病原体そのものを調べる方法と、病原体(エイズウイルス)に対する抗体と言うものが体内で産生され、それを測定する方法の2とおりがあります。従って病原体に感染された直後に検査を受けてもまだ抗原の量が少なかったり、抗体が少ししか産生されていなければ、感染していても陰性と診断されてしまいます。抗原や抗体が検査に使える値まで上昇する時間をウインドウピリオドと呼びます。ウインドウピリオドを過ぎてからの検査が正確な診断のために必要です。また、ウインドウピリオドの期間はそれぞれの検査方法により異なりますから、検査機関にウインドウピリオドを確かめておきましょう。一般的にはエイズのウインドウピリオドは抗体検査は1ヶ月+22日、抗原検査は1ヶ月+15日です(厚労省HP)。これはあくまでも平均値であり、感染者の状態で変化します。B型肝炎や梅毒、その他の性感染症にもそれぞれのウインドウピリオドがあります。

 現在のクラミジアや淋菌の検査は、子宮頸管の病原体そのもののDNAの有無を調べていますので正確に診断できますが、あまりにも感度が良すぎるので抗生剤で治癒していても、細菌の死骸にまで反応してしまいます。このため、治療後2週間程度の検査では治癒しているのに陽性と診断されることがあります。少なくとも治療3週間後の検査の方が正確です。 かっては、クラミジア抗体価IgAとIgGを活動性の指標や過去の感染ととらえていた時期もありましたが、現在の妊婦健診などではDNA検査に基づいた検査・治療をしています。

 ちゃんと治療をしたのに、まだクラミジア抗体価が陽性だからと言って抗生剤の服薬をえんえんと続けることは、まったく無意味ですから注意しましょう。

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