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産科危機的的出血に対する熊本県の医療ネットワーク

日本では1年間にお産で40人前後のお母さんが死亡しています。

原因としては産科的危機的出血が最も多く、死亡原因の3割近くを占めています。産科的危機的出血を起こす疾患の1位は羊水塞栓症と呼ばれるもので、羊水がお母さんの血液中に入り、播種性血管内凝固症候群(DIC)という状態に陥り出血が止まらなくなる疾患です。2位が弛緩出血と呼ばれる疾患で出産後に子宮の収縮が非常に悪く、同じく出血が止まらない状態に陥ります。3番目は突然胎盤がはがれてしまう常位胎盤早期剥離。子宮がとても痛くて急に赤ちゃんの動き(胎動)が悪くなっている時にはこの疾患のことがしばしばです。いずれの疾患にしても高次機能病院(大学病院レベル)の対応が緊急に必要です。

熊本県は、熊大病院産婦人科が中心となって一般の産科医療機関で上記の様な緊急の疾患が発生した場合に対応できるネットワークを構築しました。熊大病院や熊本市民病院、熊本赤十字病院など産科や小児科の医師が専用のPHSを24時間携帯しており、緊急搬送元の医師から直接の連絡が可能になっています。搬送先の病院間でベットの空き具合や緊急処置ができるかどうかの情報のやり取りにより、PHSで上記病院のどれかひとつの病院に連絡するだけで、その後の搬送先の的確な指示や地域中核病院などでの輸血や応急処置ができる様になっています。
産婦人科医が減少して来ている現状を先取りした熊本県周産期医療ホットラインの今後の運営が期待されます。

産科的危機的出血は、突然どの妊婦さんにも起こってもおかしくありません。妊婦健診をきちんと受診することはもちろんのこと、両親学級などを積極的に受講して緊急性の高い疾患に関する知識を深めておくことが重要です。また、産科主治医に仮に緊急疾患が発生したときの病診連携先を確認しておく事は重要です。さらに体重増加が異常に多い場合や飲酒・喫煙をやめることのできない妊婦さんでは特にリスクが高いを知っておきましょう。

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