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リンゴ病で流産しないために

 ほっぺたが赤くなることからリンゴ病とも呼ばれる伝染性紅斑が、各地で流行しそうです。今年1月の国立感染症研究所のまとめでは、患者数の報告が昨年を上回っており九州では福岡や佐賀で流行しそうです。熊本にまで波及する可能性があるかもしれません。

 リンゴ病は、ヒトパルボウイルスB19の感染が原因です。10~20日程度の潜伏期間のあとに、ほっぺたに赤い発疹が現れ、その後に手や口にも網目状の発疹が現れます。子供が感染してもほとんどが重症化せずに軽快します。しかし、大人ではほっぺたの赤い発疹などの特徴長的な症状が現れることは少なく風邪の様な症状ですんでしまったり、逆に、とても強い関節痛などのために歩けなくなってしまったりすることもあります。

 一番注意してほしいのは、妊婦が感染すると本人には全く症状がない場合でも胎盤を介して胎児に感染し、流産や死産になる可能性があることです。産婦人科をしていると数年に1人くらいは妊娠中に感染するお母さんを診ることがあります。お産まで2週間ごとに胎児の超音波検査で異常がないか注意深く観察した経験があります。

 このウイルスは赤血球の元になる細胞に感染し、破壊するので胎盤を介して胎児に感染すると赤血球の産生が一時的に停止してします。胎児は重症の貧血になり、その進行が胎児のむくみを起こします(胎児水腫)。最終的に死亡することも多いのです。

 妊娠20週未満の母体感染の30%くらいに胎児感染が起こります。そしてその3分の一くらいが胎児水腫や子宮内胎児死亡をおこします。一方妊娠20週以降の感染では胎児水腫はほとんど発生しません。感染したことが分かったら、お母さんの感染から2~17週間あとに胎児に影響が出てくるので、長期間にわたる胎児の観察(2週間ごとの超音波検査)が重要です。

 いずれにしても感染の予防が大事ですから、うがいやとても丁寧な流水による手洗い、できるだけマスクをして、タオルは家族でも別々にしましょう。外出や人混みを極力避け、リンゴ病も含めて感染症の症状のあるヒトには近づかないことが大切です。
 

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