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先天性奇形の予防のため風疹ワクチンを!

  風疹は風疹ウイルスの感染によって起こる全身性の感染症です。発熱と全身性の発疹やリンパ節の腫れが起こりますが、ほとんどが軽い症状ですんでしまいます。問題になるのは、妊娠の初期に感染した場合です。妊娠初期にかかればかかるほど、「先天性風疹症候群」と言う奇形を発生する可能性が高くなるからです。

  胎児に風疹ウイルスが感染すると、先天性の心臓の奇形や、白内障、難聴などが起こることがあります。発生率は妊娠初期にかかるほど高く、妊娠1ヶ月で50%、2ヶ月ならば35%、3ヶ月で18%、4ヶ月で8%と報告されています。6ヶ月以降の感染では問題はないようです。特に心臓の奇形や白内障は妊娠3ヶ月以内に多いことがわかっており、さらに、網膜症や精神発達の遅れを起こすこともあります。

  妊娠する2ヶ月以上前に風疹ワクチンを接種していれば、先天性風疹症候群は予防できます。しかしながら妊娠中に感染すると先天性風疹症候群の予防は困難です。「風疹は予防できるのに、そのことを知らなかったために、赤ちゃんの先天奇形を心配して人工妊娠中絶をしなければならない事があるわけです。」

  1977年から中学生の女子を対象に風疹ワクチンの接種が始まりましたが、1995年からは1才から7才の男女全員に接種する方法に変わりました。標準的には1才から2才の時に接種する事が多かったのですが、接種方法が変更されてから、接種していない子供たちが増え、妊娠した後に風疹に対する抗体がないことがはじめて分かり、泣く泣く人工妊娠中絶を受ける事になる事もあるわけです。

  風疹は、いままでに約5年毎の周期で大流行を繰り返していますが、流行した時には医師もマスコミもワクチンの大切さを訴えるものの、流行がないと忘れ去られてしまう傾向にあります。

  これから妊娠をして、健康な赤ちゃんを望んでいるあなたこそ、妊娠していない事を確認して、風疹ワクチンの接種を受ける様にしましょう。同時に、妊娠前にその他の病気で奇形を起こす可能性のある疾患の検査も、同時に受けておく事も良いかもしれません。詳しくは産婦人科医師にご相談ください。

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