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エイズ母子感染は抗ウイルス剤服用と帝王切開で1%台に抑制可能です。

-妊婦健診では必ずエイズ検査を受けましょう。-

  妊婦健診でエイズ検査を拒否したために、出産後にはじめて、母子ともにエイズに感染してしまっていた例が、先日のNHKで放映されていました。さらに父親もエイズ陽性である事が分かりました。現在、日本でもエイズが猛烈な勢いで増加傾向にあります。自分には関係のない病気だという認識を捨てて、機会があればエイズ検査を積極的に受けましょう。

  今までは、エイズ検査をしていない産婦人科のほうが多いのが現実でしたが、最近では、分娩を取り扱う産婦人科で、妊婦検診の検査項目の中にエイズ検査を組み込んでいるところも増えてきました。しかしながら、エイズの検査用の採血には、採血以前に本人の同意が必要であり、同意書をとらなければなりませんが、本人の同意のないままに検査を施行したり、ひどいところでは、本人の知らない間に検査だけ施行しているところがあるようです。

  最近の研究で、エイズ感染者の経腟分娩では約半数が産道で、赤ちゃんに感染をおこすことが分かり、帝王切開での分娩に切り替えれば約1%程度の感染率に下げる事が可能である事が分かっています。さらに、計画的な帝王切開を行い、このうち、さらに母子ともに抗ウイルス剤を使った例では、赤ちゃんへの感染率は一例もありませんでした。

  いっぽう、妊婦健診でのエイズ検査率は、全国平均で74%程度であり、関東地方では検査率が高く、九州地方は極めて低い事がわかっています。熊本県は九州では、最も高いものの30%程度であり、これからの感染率の上昇を考慮すれば、更なる徹底した検査が望まれる事は明らかです。

  厚生労働省の研究班では「全妊婦にエイズ検査を勧め、全ての病院で適切に対応すべきだ」との見解をはやくから出していますが、その検査の資金に関して言及しません。健康な国民生活を保障するためには、国の政策の一環として、妊婦健診でもエイズ検査を公的組織で施行して欲しいものです。

  さて、各地の保健福祉センターでは、エイズの検査が匿名、無料で受ける事ができます。結婚前に一度パートナーとご一緒に、ぜひエイズ検査を受けておきましょう。

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