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産後うつ病 -苦しい時にはひとりで悩まないで!-

  お産後に、約半数近くの褥婦さんが経験する(理由もなく悲しくなったり、涙が止まらないような)軽いうつ状態のことをマタニティブルーと呼びます。マタニティブルーは、睡眠不足であれば睡眠をたっぷり取ったり、不安感に関しては話を十分に聞いてもらうだけで簡単に回復します。周りの人たちが気をつけなければ行けない事は、決して励まさないことです。「がんばらなくていいんだよ。」と言ってあげる事が早期の回復につながります。休養を十分に取らせて安心させてあげることで簡単に治ります。

  ところが、同じような症状を呈しながら、これとは違い、社会的に問題となる痛ましい事件まで起こしてしまうものに産後うつ病があります。たとえば、母子が二人きりの状態(密室育児)のために正常に物を考える事ができなくなってしまい、無理心中したり、赤ちゃんをマンションの窓から放り投げて死亡させたりする事などが起こっています。

自分の子を縛り付け、ミルクや母乳を一切与えず、泣きわめくわが子を一日中そのままにしていたり、あるいは言う事を聞かないからとタバコの火を手に押し付けるなど・・・。このような数々の異常に見える行動は、母親が残虐になってしまったのではなくて、脳のシステムに異常が発生している状態なのです。しかも母親自身コントロールのできない状態なので、そして一番苦しいのは本人自身です。

  このような産後のうつ状態までに進行させる原因には1)ホルモンの分泌の変化による精神状態の変化。2)育児や睡眠不足による過剰なストレス。3)周囲の人の無関心や無理解。などがあります。いずれにしても、早く発見しひどくならないうちに治療するが大切です。以下のことが思い当たる時には産科主治医や精神科医にご相談ください。

  1. 気分がひどく落ち込む
  2. 今まで関心のあったことに対して興味がわかない。

  これらの症状のほかに、①いつも疲れているような気がする②あまり眠れない③何かに対して不安な気持ちになる④いらいらする⑤将来に対する希望が持てない⑥集中力や記憶力が弱くなったと感じる⑦自分を責める⑧食欲がなくなる⑨子供や夫に愛情を感じられない。・・・などのことが思い当たる時には、決してひとりで悩まないでご相談ください。

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