Ⅰ.子宮癌には2つのタイプ・頸癌と体癌
子 宮癌には2つのタイプがあります。ひとつは子宮の入り口にで きる子宮頸癌で、日本人の子宮癌の90%がこのタイプです。いわゆる子宮癌検診は、頸癌の検診になります。頸部癌はイボを作るウイルス(ヒトパピローマウ イルス)のSEXによる感染が原因であり、感染後10年程度で癌を発症することがあります。初交年齢の低下と晩婚化による出産年齢の高齢化により、妊娠合 併の子宮頸癌の症例が増えています。今年度からは子宮癌検診の対象年齢が引き下げられ20才以上が対象になりました。
★子宮頸癌検診の正診率は何%ぐらいか?
さて、子宮から綿棒等で採取した細胞を染色し細胞診スクリーナー に判定してもらうのが癌検診ですが、いわゆる子宮頸癌検診での正診率(癌にかかっている人の何%が癌検診で診断できるか)は95%であり、精度が高いことが証明されています。
★子宮癌検診はどのくらいの間隔で受けるべきか
子宮頸癌検診は癌を発見するばかりではなく、癌になる前の前癌状態も診断する事が可能です。この前癌状態から0期の癌になるのにはどんなに早くても6ヶ月は かかることがわかっています。このことから年に1回程度の検診を受けておけば特殊なタイプの癌でなければ安心でしょう。また、0期の子宮頸癌(手術後の確 定診断で)は100%治癒します。
Ⅱ.子宮頸癌検診の結果について
子宮頸癌検診では6段階の評価をします。クラスⅠとクラスⅡは正常で特に治療の必要はありません。
クラスⅢa・クラスⅢbの場合には、異常のことがありますのでさらに詳しい検査を追加する事があります。
クラスⅣやⅤの場合には、手術や放射線治療が必要ですが、妊娠に合併することは極めてまれです。
Ⅲ. 子宮頸癌でも子宮を取るとは限らない
★YAGレーザーメスや超音波メスによる手術
子宮頸癌の初期では、子宮癌の病巣だけを切除する円錐切除術が診断と治療を兼ねて行われる事があります。特にYAGレーザーメスというレーザー光線を使ったメスや最近開発されて超音波メスでは出血量も少なく、手術時間も数10分で済みます。
妊娠合併の患者さんや将来、妊娠・分娩を希望している者さんに適しています。
最後に婦人科の癌になりやすい人についてまとめてみました(表1)。心当たりのある方はお近くの産婦人科医にご相談ください。
(1)子宮頸癌:多数のセックスパートナー・早い結婚・多い妊娠分娩回数
(2)子宮体癌:遅い閉経・未婚・不妊・少ない妊娠分娩回数・肥満・高血圧・糖尿病
(3)卵巣癌 :未婚・不妊・自然流産・脂肪の過剰摂取・タバコ・肥満高血圧・糖尿病
(4)乳癌 :未婚・遅い閉経・家族歴・脂肪摂取・高学歴・管理職