診療について

教えてDr.バックナンバーに戻る

教えてDr.

大豆イソフラボンのホルモン作用

 イソフラ ボンは大豆フラボノイドの一種で、植物性エストロゲンとも言われ、女性ホルモンが減少した場合には代替えホルモンとして作用します。大豆に含まれるイソフ ラボンの含有率は0.2%と微量ですが、日常摂取するイソフラボンの多くは大豆食品からと考えられており、大豆食品を多く摂取する日本人が欧米人に比べ て、更年期障害、循環器疾患、骨粗鬆などの発症率が低いのは、イソフラボンの摂取量の差によるものと考えられています。

 エストロゲンが 不足している状態では、本来のエストロゲン代わって植物性エストロゲンがその不足を補う方向に働き、エストロゲンの作用がそのまま出ることになります。つ まり更年期障害や骨粗鬆症に対する改善効果、乳癌の予防、動脈硬化の予防、骨密度の低下の抑制、尿失禁、アルツハイマー病の予防などにも効果が期待できる と認められています。

 逆に、エストロゲンが過剰な状態では植物性エストロゲンは本来のエストロゲンより薬理活性は弱いので、過剰に分泌 された本来のエストロゲンと競合し受容体に結合しようとすることによって、最終的なエストロゲン作用を弱めるメカニズムが考えられています。つまり普通に 月経がある人が大量に摂りすぎると、逆に月経異常が起こりえると言うことです。

 100gの豆腐を食べると1日に合計24mgのイソフラ ボンを摂るとされています。最適な量の目安は、1日に豆腐なら150g(半丁)、きな粉なら20g、納豆なら1パック60gです。豆腐1丁でエストロゲン として最大0.05mg(ピル1錠分相当)の効力が期待できるようですが、実際にはその10分の一とされています。自然界に存在するホルモン作用物質なの で、副作用はないとされていますが、まだ未解明の部分も多く、発癌性も含めて今後の研究が注目されます。

教えてDr.バックナンバーに戻る