● 1万人を超えているHIV感染者、2010年には5万人を超えます。
2006年にエイズ動向委員会が報告した2005年度までの、日本における年間HIV感染者とエイズ患者の報告数は年々増加し続けており、近年では年間陽性者数(キャリアー数:HIV感染者数およびエイズ患者数)は1,000名を超え、累積陽性者は11,036人に達しています。先進諸国のなかでHIV感染者/エイズ患者が増加し続けているのは日本だけなのです。この増加傾向が続けば、2010年には感染者が5万人を超えます。
日本で特徴的なのことは、HIV感染が判明したときにはすでにエイズを発症している「いきなりエイズ」が感染者の3割を占めていることです。このことが我が国のエイズ患者の増加につながっていると言われています。エイズ発症までには約10年間の潜伏期間(症状がない期間)がありますから、早期診断によるHIV感染の拡散防止が急務です。HIV感染者は20代、30代が多く、それに比べてエイズ発症患者は30代、40代と年齢層が高く、50代、60代でも安心はできません。
● HIV感染の妊婦が増加傾向に
また、日本での妊娠合併のエイズ/HIV患者さんも2004年以降徐々に増加していることが厚生省研究班の調査で分かっています。1988年以降、妊娠合併HIV感染者/エイズ患者は累積で380人になりました。九州では4例の妊娠合併エイズ/HIV患者が明らかとなっています。妊婦健診でのHIV検査も九州ではやっと当たり前になってきましたが、それまでは検査していないところも多かったのです。妊娠中にHIV感染者であることが分かれば、現在では帝王切開をすることで赤ちゃんへの感染を防ぐことができます。また、潜伏期にHIV感染があることが分かれば、薬剤の投与によっておかあさんもエイズを発症することはありません。
● 検査をしないとHIV感染は分かりません
HIV陽性者は性感染症合併が高率に認められます。性感染症があるときには保健所等の無料で匿名検査を受けましょう。HIV感染は検査を受けないと分かりません。