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AYA世代に多いがんの特徴

2021年08月05日

1.AYA世代に多いがんの特徴

「AYA世代」という言葉を聞いたことがありますか?
AYA(アヤ)とは、「Adolescent & Young Adult」の頭文字を取って、「思春期&若年成人」という意味になります。
年齢で言うと、15歳~39歳で、学業、仕事、育児などに忙しい世代です。この世代をAYA世代と呼び、AYA世代のがんは、25歳を過ぎると著しく増加していることが、国立がん研究センターの報告で明らかになりました。
これによると、30~39歳で発症しているものが、40歳未満のがん全体の約70%、AYA世代のがんに限ると75%を占めています。また、男女別に見てみると20歳以降のがんの症例は女性に多く、20歳から39歳までのがんでは、実に約80%を女性が占めるという驚くべき結果でした。

一般的に、がんは高齢者に多い病気ですが、AYA世代の女性においては、20~40歳までは、乳がんや子宮頸がんの割合が多く、特に気を付ける必要があります。


2.ハイリスクHPVと子宮頸がん

 乳がんの発生には、女性ホルモンであるエストロゲンが深くかかわっていることが知られていますので、エストロゲンが活発に分泌されている若い女性に多くみられます。
 一方、子宮頸がんは、乳がんよりも若い年代で発生しているがんです。発症の原因には、ヒトパピローマウィルス(HPV)の持続的な感染が関係していることがわかっています。HPVについては、ほとんどの女性が一生に一度は感染するという非常にありふれたウィルスです。
HPVは100種類以上のタイプがあり、このうちの子宮頸がんの原因となるハイリスクHPVと言われるタイプは15種類ほどあります。ハイリスクHPVに感染しても、ほとんどの方は自己の免疫力で自然に消失します。
 子宮頸がんを発症するのは、HPV長期感染者の約0.15%と言われており、非常に少ない確率です。
また、HPV感染が長期化しても、すぐにはがんになりません。HPV感染から子宮頸がんになるまでには、数年から十数年という長い時間がかかり、その間、細胞の形態が変化を起こす「前がん病変(異形成)」が長期間にわたってみられます。しかし、この「前がん病変」では自覚症状が現れないため、子宮頸がん検診によって見つけることができます。
 定期的に子宮頸がん検診を受けていれば、がんになる以前の「前がん病変」で発見して治療することができます。
 子宮頸がんになるかどうかは、HPVが陰性化するかどうかによって決まります。したがってHPVに感染するリスクよりも、個人の免疫力や環境因子の方が重要であり、妊娠・出産経験が多いこと、長期間のピルの服用、喫煙などが発がんの危険因子としてあげられます。

 

子宮頸がんの予防のためには?

 子宮頸がんは、乳がんと違って自己検診ができないので、その予防には、子宮頸がん検診が有効です。
しかし、日本の子宮頸がん検診の受診率は、諸外国と比べて非常に低いです。アメリカは90%、イギリスは80%の受診率ですが、日本の受診率は20%台にとどまっています。これは、妊娠の初期で必ず行う子宮頸がん検診を含んだ受診率ですので、妊娠していない女性の子宮頸がん検診受診率はもっと低いと言われています。
 子宮頸がん検診が開始されてから40年近くなりますが、検診の普及によって子宮頸がんの死亡率は著しく減少しました。しかし、近年、検診受診率の伸び悩みや、性交年齢の若年化、性行動の活発化、性行為感染症としてのHPV感染が原因で、再び増加しています。

子宮がん検診はどういう検査?
 現在、日本の子宮頸がん検診は、細胞診(子宮頸部の細胞を採取して顕微鏡で異常な細胞の有無を確認する検査)が主流です。
異常な細胞は子宮頸部の移行帯と呼ばれる部分に出現しやすいため、その部分を中心に医療用のブラシで細胞を採取し、顕微鏡で確認します。結果の報告までに通常2週間くらいかかります。
最近は、子宮頸がん検査の自己採取キットがネット通販やドラッグストアで購入できるようになりました。医療機関を受診しなくても検査ができるメリットがありますが、医師が目視で子宮頸部の移行帯の細胞をしっかり採取するのとは違い、精度は低くなります。