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 胎児や母体に突然の異常が起こった時、生まれた未熟児や急変した新生児を治療・管理できる新生児集中医療センター(NICU)は熊本県では、熊本市民病院にしか開設されていません。
 当院では距離的に熊本市民病院に近く、救急車での搬送でも5分ほどしかかからないために、積極的に母体搬送をしています。赤ちゃんの周産期死亡率(妊娠6ヶ月から生後1週間)を下げるためには、危険な状態ならば、高度な医療機関に搬送するという意識を産科医が持つことが極めて重要です。
 産科手術での医療事故で最も多いのは、帝王切開時の麻酔医以外による脊椎麻酔ショックによる死亡です。今日では、産科医が麻酔も手術も出生直後の新生児管理もする時代ではなく、手術の麻酔は麻酔専門医に任せるべきだと当院は考えます。このために、当院では帝王切開時には麻酔の指導医免許を持つ麻酔医にお願いしております。もしも生まれたばかりの赤ちゃんに蘇生が必要なときでも、麻酔科医師がいるので安心です。
 最近、母児相互作用や母乳保育の重視の中で、母児同室制が見直され、積極的に同室化する施設も現れています。分娩直後の「最初の一週間」のかけがえのない大切さが、最近次々と証明されてきましたが、いまだ大規模病院の50%が母児異室制となっています。
 母乳の分泌量は母児相互作用が大きく関係しています。おかあさんの乳首を赤ちゃんが吸うと、その刺激で母乳を分泌させるホルモンが増え、さらに母乳の量が増えます。また、出生後早ければ早いほどこの母乳分泌ホルモンの上昇の程度が高いことが明らかになりました。つまり、母児同室であれば早くから授乳が可能で、分泌量も増えます。
 当院では、個室にはオリジナルベビーベッドをおき、母児同室を希望される方に、分娩後早期より児との接触−母児相互作用−の確立に努力しています。
 肺塞栓症とは、手術後の肺の血管に血液の固まりが詰まり、突然心臓が停止したり、呼吸が停止し死亡する事の多い疾患です。
 帝王切開後に肺塞栓症を最も起こしやすいのは、術後2日目であることが数々の統計学的事実から明らかとなっており、このために当院では術後2日目の点滴の中に低分子ヘパリンという血液の凝固を防止する薬剤を投与しています。
 また、手術後にベッド上で安静にすることが、下肢からの血流の停滞を招き、肺塞栓を起こす引き金となっていることも明らかとなってきました。このために、手術後から歩行可能になるまでの間、足底に自動的に作動して血流をうながす作用のあるポンプを使用しています。このポンプの作用により、持続的な下肢からの血流が維持されますので、肺塞栓予防の有効な手だてとなるわけです。これらの2つの予防法を施行しておけば、手術後の肺塞栓症の予防はまず大丈夫だと言えるでしょう。