診療について

教えてDr.バックナンバーに戻る

教えてDr.

流産とその次の妊娠

 市販の妊娠反応陽性のうち70%は流産となります。
  最近の市販の妊娠反応の検査感度は鋭敏で、妊娠反応陽性(50mIU/dl)で妊娠を確認したのにもかかわらず、その60%は本人が知らないまま、何の症 状もないままに流産することが分かってきました。そのような妊娠では、1週間くらで妊娠反応が自然に陰性になってしまっています。妊娠反応という化学反応 だけが陽性だったり、妊娠という臨床症状がない妊娠のために、これを化学的妊娠あるいは前臨床的妊娠と呼びます。流産の症状があり手術などの医療的な治療 が必要な割合は、妊娠反応陽性の10%だけです。
 つまり、流産という大きなカテゴリーから考えると、妊娠反応陽性の30%が赤ちゃんが生まれ、70%が流産するわけですから、1度流産をしたからと言っても次回の妊娠はあまり心配しなくても良いことが分かります。

 流産後の妊娠で赤ちゃんが生まれる割合は70~85%と高率です。次回妊娠の見通しはとても明るいのです。
そうは言っても、流産したお母さんの気持ちは、どうしようもないほど悲しく、回りの人たちがどれだけの言葉をかけても癒されることがないほどです。
  でも落ち込むことはありません。上述した事実とさらに最近の流産後の妊娠に関する医学的データによると、次の妊娠は無治療であっても成功率(赤ちゃんが生 まれる)は70~75%です。さらに流産の原因を検索して治療したものまで含めれば70~85%は妊娠して赤ちゃんが生まれることが分かってきました。決 して1~2回の流産で悲観的になる事はありません。次回の妊娠の見通しはとても明るいことを知っておきましょう。

 3回続けての流産は精査・治療が必要です。
ぜひ!35才までには生みましょう。

注 意しなければならないのは3回続けて流産したときは習慣性流産と言う病気としてとらえますので、専門医での精査・加療が必要なことがあります。また、高齢 での妊娠・分娩が増えてきていますが、37才をボーダーラインとして妊娠しにくくなります。また妊娠したとしても37才以上での妊娠では4倍くらい流産や 早産しやすく、合併症妊娠(糖尿病や高血圧など、)や妊娠高血圧症候群などになりやすい事が分かっています。ぜひ、35才までには妊娠・分娩を済ませてお くのが望ましいでしょう。また、40才代の妊娠は不妊治療を受けて成立したことが多く、だれでもTVのように40才過ぎに自然妊娠できるわけではないこと も知っておきましょう。

教えてDr.バックナンバーに戻る