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教えてDr.

妊娠と風疹 だんなさんからの感染予防を

-今年は風疹が流行したと聞きましたが?

 風疹は以前は5年ごとに流行を繰り返していました。
1960年代には沖縄で大流行があり、聴覚障害や白内障を起こす先天性風疹症候群の赤ちゃんが多数生まれました。
1995年の春から、生後12~90ヶ月未満の男女ともに予防接種の対象となった後には、患者さんは大きく減少しました。
 ところが、2003~2004年、2011年に小流行が起こり、2012年に関しては大流行となり、最多の1000例以上の報告数となっています。特に関東や近畿圏の大都市で流行しています。

-どうして風疹が流行したのですか?

  2011から2012年の報告患者さんの大半が20~40歳代の成人男性です。昭和54年4月2日から昭和62年10月1日に生まれの人は、法律の変更に により、予防接種を受けていない人が多いのです。風疹ワクチンの接種の有無は、ご自身の母子手帳で確認してみて下さい。また、この世代は過去に風疹ワクチ ンの2回接種を受けていません。

-風疹は2度罹ることがあるのですか?ワクチンで万全ですか?

 風疹は一度かったら二度と罹ることがない(終生免疫)と考えられていましたが、2度目の感染の症例はしばしばあり得ます。また、ワクチンを接種しているのに抗体がないことも時にあります。
 平成7年以前に中学校を卒業した女性は、中三の時に接種をしているはずです。
  以上のことをまとめると、妊婦に風疹ウイルスを感染させる現況は、いちばん身近な旦那さんの可能性が高いのです。男性配偶者から妊婦への風疹感染を予防す ると言う意味からも、生涯2回目の接種を考えるべきです。また、子供達との接触機会の多い職場(医療従事者、保育施設、学校)妊婦の家族、妊娠の希望や妊 娠の可能性の高い女性、産褥期の女性への風疹ワクチンの接種も勧奨されています。妊娠を希望している女性は、風疹の予防接種後3ヶ月は避妊が望ましいと言 われています。。
 風疹の抗体がない妊婦さん達に、産褥4日目に風疹ワクチンを接種している医療機関もでてきました。ワクチンの接種の機会を逃さづ、社会全体の風疹抗体保有率を高めれば、将来的には風疹の根絶も可能なのです。

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