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枯死卵と言われたら

 妊娠反応とは胎盤のもとである絨毛という組織が産生するホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の有無を調べる検査です。最近の市販の検査薬では50m単位に測定レベルを設定してあるものが多く、予定の月経が妊娠により遅れている場合には、ほぼ100%陽性となります。


 けれども、妊娠反応が陽性に出たからと言っても、正常妊娠かどうかの目安にはなりませんから産婦人科の受診が必要です。産婦人科で超音波検査を受けて、子宮の中の正常妊娠かどうかを診断してもらうことが重要です。なぜならば、流産しかけていたり、子宮外妊娠や胞状奇胎という悪性疾患でも陽性になるからです。


 超音波検査を受けて、子宮の中に胎嚢(たいのう)と呼ばれる袋が確認できる事、さらにこの胎嚢の中に卵黄嚢(らんおうのう)という胎児への栄養を供給する袋が認められれば、子宮内妊娠はまちがいありません。


 胎嚢は認められるのに卵黄嚢が認められなかったり、卵黄嚢は認められるのに(胎嚢の直径が27mm以上あるのに)胎児が確認できないものを枯死卵と呼んでいます。流産の一つの形です。


 出血などの流産症状などが全くなく、つわりもあり、妊娠反応も陽性なのに、うまくいっていない妊娠も時にあり得るのです。


 枯死卵と診断されたら、次の妊娠のために流産手術が必要です。ただし、枯死卵のように一度妊娠を経験した子宮は、次回妊娠しやすいという疫学的事実がありますから、決して落ち込んであきらめる必要はありません。次回の妊娠についてのアドバイスを産婦人科医から受けて下さい。

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