非ステロイド系の消炎鎮痛剤(NSAIDs)、いわゆる解熱鎮痛剤、の妊娠中期から後期の内服は、胎児の循環系に影響を起こす可能性があるために、平成23年11月から使ってはいけないこと(禁忌)になりました。
これらの薬剤を使用した妊婦さんでは、羊水が少なくなったり、胎児の動脈管という血管が収縮して、赤ちゃんの状態が悪くなる症例報告があったからです。
今回は、妊娠中の副作用症例の新たな集積から医薬品医療機器総合機構(PMDA)が、外用薬(クリームや軟膏)やテープ剤についても、さらなる注意喚起を行いました(26年5月)。それによると副作用報告が5症例あり、4例が動脈管の狭窄や閉鎖が起こり、1例は羊水過少が起こっています。どの症例も薬剤の中止によって回復しています。
これらの副作用のために、PMDAは妊娠後期には内服薬に限らず、外用薬やテープ剤も使用しない事、妊娠中期に使用する場合は羊水過少症が起きた報告があるので、必要最小限にとどめる様に勧告しています。
お産を扱う先生方は消炎鎮痛剤の情報に精通していますが、整形外科や内科の先生方には行き渡っていない可能性があるかもしれません。赤ちゃんの安全のために、妊娠中の鎮痛剤や湿布薬は必ず産婦人科医から処方してもらいましょう。ちなみに、妊娠中期とは妊娠16週~27週までを、妊娠後期とは妊娠28週~生まれるまでの時期を言います。
代表的なNSAIDs{非ステロイド系消炎鎮痛剤)の例:イブプロフェン、イノドメタシン、ジクロフェナムナトリウム、フルルビプロフェン、ロキソプロフェン
商標名:モーラス、インテバン、インドメタシン、ボルタレン。ロキソニン、 使ってよい湿布はセルタッチ。
最後に、アセトアミノフェン(カロナール)の使用に関しても日本小児科学会から動脈管収縮例の報告があっています。