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妊娠中のたばこはおとなになっても悪影響

 20歳代の妊婦の喫煙率は5~10%、そのパートナーの喫煙率は49~63%と他の年代に比べて高いことが分かっています(環境省)。

また、妊娠中は60~80%の妊婦が禁煙するものの、赤ちゃんを産んだ後は、80%のお母さんが喫煙を再開してしまいます。胎児や乳児の受動喫煙による影響も忘れてはなりません。

最近、妊婦の喫煙による赤ちゃんへの影響がさらに詳しく分かってきました。

妊婦の喫煙は胎盤を通して、胎児の発育不全、早産、流産、口唇、口蓋裂などの奇形、また各臓器の重量・機能低下を招き、乳幼児期から思春期には乳児突発死症候群(SIDS)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、成人期には発達障害、喘息、動脈硬化、高血圧、肥満、2型糖尿病などを起こすことが報告されています。

これらの中でも、注意欠陥多動性障害(ADHD)、肥満、乳児突発死症候群(SIDS)、喘息に罹るリスクが高いことが分かってきました。

これらの発生頻度は

① 母体の喫煙量に比例する。
② 多くの場合、妊娠初期の禁煙により頻度は低下あるいは発症しない。 

このように胎児期に受けた環境の暴露が、成人期までに影響する原因のひとつはDNAが変化を受けるためと分かってきました。たばこの煙を含む環境汚染物質の暴露により、DNAに変化が起こり、これが染色体構造異常を引き起こし各臓器、免疫系、神経系の発生と機能さらには心身の健康に影響を及ぼすと考えられています。

胎児期の環境汚染物質の暴露がDNAに変化を起こし成人期の生活習慣病の発生まで影響してくると考えられています。妊婦だけでなくパートナーや同居している家族も含めてできる限り妊娠早期からの禁煙が重要です。

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