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パルスオキシメーターで赤ちゃんの心疾患の早期発見

 赤ちゃんの皮膚につけるだけで、血液中の酸素濃度を計測することができる機械がパルスオキシメーター(経皮的酸素濃度計)です。

生まれたばかりの赤ちゃんでは正常でも呼吸状態がうまくいかない時期があることがあります。そのほとんどは一過性の呼吸障害であり、時間の経過とともにうまく呼吸できるようになりますが、バイタルサイン(心拍数や呼吸数、血圧)だけでの観察では器質的な異常があるかどうか、また、機能的異常があり治療が必要かどうかまでは診断できません。

パルスオキシメーターがあれば、スクリーニング法に従った観察をすることにより、新生児の専門的な治療が必要かどうかをある程度判断できるようになりました。

具体的には、生後24時間から48時間に右手とどちらかの足の経皮的酸素濃度を測定します。右手または足の酸素濃度が95%以上でかつ足の酸素濃度との差が3%以下であれば正常ですから安心です。(右手と足の酸素濃度の差を計るのは赤ちゃんの時には血液循環に役立っている動脈管依存性の心疾患の発見に役立ちます。)①酸素濃度が90%以下や②酸素濃度が94%以下で足との酸素濃度差が3%以上ある時には新生児専門のNICU(新生児集中医療施設)等での精密検査が必要です。

新生児の呼吸不全は心臓循環器系や呼吸器系の先天的な異常も含めていろいろな疾患がありますから、生下時直後からの呼吸循環状態の観察にあわせてパルスオキシメーターでの24~48時間以内の観察は有益な情報を与えてくれます。

しかも最近では機器自体の価格が購入しやすいほどになりましたから、多くの産婦人科診療所でもルーチンに計測できるようになってきました。早期の呼吸器循環器疾患を発見するためにパルスオキシメーターを活用しましょう。

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