市販の妊娠反応検査薬で陽性反応が出ても、異所性妊娠(子宮外妊娠)や悪性疾患などさまざまな可能性があるそうです。どの段階だと正常な妊娠と確認できるのか、専門医に詳しく聞きました。
-妊娠反応の仕組みは。
牛島) 受精卵が卵管を通って子宮内膜に着床すると、胎盤の元となる絨毛(じゅうもう)という組織ができます。絨毛が分泌するホルモンがヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)で、hCGが尿中に検出されると妊娠が成立していると考えられます。
-妊娠反応が陽性でも、子宮内の妊娠とは限らないのですね。
牛島) 経膣超音波検査で子宮の中に胎嚢(のう)が確認でき、さらにその卵黄嚢という丸い輪が確認できると子宮内の正常な妊娠とされます。胎嚢が確認できない場合は、①正常妊娠であるが、検査が早すぎたため胎嚢がまだわからない②流産しかけている③異所性妊娠(子宮外妊娠)④胞状奇胎(悪性疾患の一種)-など主な4つの原因が考えられます。中でも、卵管など子宮外で妊娠している異所性妊娠は、卵管破裂が起きた時などに命に関わります。尿中や血中のhCGが1000単位を超えているのに胎嚢が確認できない際には、腹腔鏡手術ができる医療機関での治療が適切です。
-科学的妊娠とはなんですか。
牛島)妊娠反応検査薬で陽性が出ても、実際に分娩に至るのは30%程度とされます。残り70%のうち10%は臨床的な流産症状を伴い、60%は自分で気付かなかったり、何の症状もなく流産しています。妊娠反応(化学反応)でしか妊娠が確認できなかったため、このことを科学的妊娠、または前臨床的妊娠と呼びます。いずれにせよ、妊娠かなと思ったら早めに産婦人科を受信しましょう。