「妊娠中に温泉に行ってもいいの?」と気になる妊婦さんは多いようですが、基本的に温泉の成分は胎児に直接影響を与えることはありませんが、妊娠初期に高温の湯船に長時間つかることは控えましょう。
ちなみに、1948年に公布された温泉法では、「妊娠中(特に初期と末期)」は禁忌症とされていて、妊婦さんの入浴は推奨されていませんでした。しかし、最近になって医学的に根拠のない基準であることがわかり、2014年に環境省によって「妊娠中の入浴」が禁忌項目から削除されました。
温泉に入っても良いとはいえ、妊婦さんには特に気をつけてほしいことがいくつかあります。次のリスクに十分注意したうえで、温泉を楽しんでください。
① 滑らないように注意
温泉は岩や床が滑りやすいので、手すりを利用したり、ゆっくり歩いたりすることを心がけましょう。お腹が大きくなってくると足元が見えにくく、バランスを崩しやすいので気をつけてください。
② のぼせないように注意
温泉にゆっくり浸かりすぎて、のぼせてしまうと大変です。長時間の入浴は避け、10分程度で切り上げるようにしましょう。42℃以上の高温、または30℃以下の低温だと血圧が上昇しやすいので、熱すぎるお湯や水風呂は入らない方が安全です。
最近(2017年)妊娠初期の熱刺激(動物実験)が、赤ちゃんの頭や首に異常を起こすことを証明する論文が出ました。もちろんこの動物実験がそのまま人間に当てはまるかどうかは分かりませんが、熱い湯船に長時間、特に妊娠初期には避けましょう。
むしろ、妊娠初期における一般的な感染症による高熱が赤ちゃんの心臓の異常や口蓋裂、中枢神経の発達障害との関係がある事が分かっています。
今の季節、風邪やインフルエンザなどの予防をしっかりして、かかっても高熱にならないように解熱剤を飲むことに抵抗せず、適切な解熱剤の投与が大事です。
また、お風呂あがりの湯冷めにも気をつけてください。湯冷めすると風邪をひいてしまうかもしれないので、温かい格好でくつろぐようにしましょう。お風呂あがりの水分補給も忘れずに。
③ 肌トラブルに注意!
妊娠中は、肌がいつもより敏感になる人も多いもの。もし、温泉に浸かって肌がかゆくなったりしたら、すぐに入浴を中止し、シャワーのお湯で体を流しましょう。刺激の強いイオウ泉、濃い食塩泉、放射能と関係のあるラジウム泉は避けた方がよいでしょう。
お風呂あがりに化粧水などで保湿をするのもいいですね。
④できるだけ一人にならないように!
のぼせてしまったり、急に脳貧血になったり、意識を失って転んでしまうと非常に危険です。できるだけ家族を連れて入浴するか、人が入っている時間帯に温泉を利用するようにしましょう。(できれば家族風呂を利用して、家族と一緒に入浴すると安心です。) 温泉は妊娠中のストレスを解消できます。妊娠経過に問題がなく妊婦健診でも異常がなければ気分のリフレッシュには最適でしょう。