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流産後の妊娠はどのくらい期間を開けるべきか?

すべての妊娠の約10~15%が流産となることがわかっています。

流産した後には「また、この次もうまくいかないのではないか」「次の妊娠が早すぎると再び流産するのではないか」などと悪く考えがちです。

世界保健機構(WHO)は、流産後の次回妊娠の経過がうまくいく為には、6ヶ月間の妊娠を延期することを推奨していました(2005年)。この推奨を根拠として、今まで流産したお母さんで、3~6ヶ月間くらい間を開けるように指導された方も多いと思います。

ところが、次回妊娠成立まで6ヶ月未満であった場合には、6ヶ月以上間隔が開いた場合に比べて、流産するリスクや早産、低出生体重児のリスクが明らかに低いとの報告も出てきました(2017年)。

さらに、最も新しい報告では、意外なことに母親の人種やお産の回数に関係なく、流産後3ヶ月未満での妊娠の場合には、流産を繰り返すリスクが最も低い、といった報告が明らかとなりました(以前から、妊娠を一度経験した子宮は妊娠しやすいことはわかっていました。)。これは、流産といえども妊娠していたわけですから、流産直後には自然に妊娠しやすい子宮のため、結果的に妊娠成績が改善するということなのかもしれません。

次の妊娠を強く希望しているカップルでは、流産後に妊娠を遅らせることは有益ではありません。何か特別に妊娠を遅らせるための理由がなければ、初回分娩の年齢が30歳を超えている現在の日本ですから、次の妊娠をすぐに考え、主治医に最も妊娠しやすい時期を指導してもらい(タイミング法)、試みるようにしましょう。

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