これらを食べると、おなかの赤ちゃんに重大な悪影響のある微生物に感染するリスクがあるからです。
リステリア菌の食中毒があります。リステリア菌は自然界に広く分布している菌ですが、妊娠中にリステリア菌に感染すると、流産につながったり、赤ちゃんが感染して敗血症となってしまったりすることもあります。
重要なのは、妊娠中は普通の人より20倍以上食中毒にかかりやすくなるということでリステリア菌は加熱により殺菌することができますが、塩漬けの食品や、冷蔵庫の中でも繁殖できるという特徴があり、注意が必要です。
海外では、特に加熱殺菌していないナチュラルチーズ、肉や魚のパテ、生ハム、スモークサーモンでの食中毒の報告が多いようです。
実は、リステリア菌は生野菜や果物にもいます。アメリカでは11年にメロンを原因としたリステリア菌の食中毒が発生し、33人が死亡しています。18年のアメリカ食品医薬品局の報告では、アメリカ国内生産や輸入品のアボカドのうち、18%の皮にリステリア菌が付着していたことがわかっています。日本ではリステリア菌による食中毒の報告はこれまでありません。また、妊娠中に生ハムを食べなくてもそれほど生活に支障はきたさないと思いますが、生野菜や果物を食べないとなると支障が大きいですよね。
生野菜や果物を食べることは栄養的なメリットも大きいので、現状ではこれらを避ける必要はないと思います。ただし、妊娠中は特に、よく洗って食べるようにしてください。チーズ類に関しては、プロセスチーズは加熱されて作られているので、問題ありません。輸入品のナチュラルチーズを加熱せずに食べるのは避けたほうが良いと思いますが、日本で製造されているカマンベールチーズ等は、加熱殺菌して製造されているものも多いようです。私はチーズが大好きなので、加熱殺菌されているものを調べて食べていました。
トキソプラズマ症です。トキソプラズマは一つの細胞だけでできている小さな寄生虫で、主に豚や羊などの肉、そして土や猫のふんなどに存在しています。健康な人が感染しても問題ありませんが、妊娠中にはじめてトキソプラズマに感染すると、赤ちゃんは先天性トキソプラズマ症といって、流産につながったり、眼や脳に障害が出たりすることがあります。
トキソプラズマは67℃以上まで加熱しないと殺菌できません。ローストビーフ、レアステーキなど、加熱が不十分な肉を食べるのは、妊娠中は避けましょう。