流産は全妊娠の15%にみられますが、原因が不明なこともしばしばです。ビタミン不足の偏った食事は、妊娠初期に胎児を失うリスクを増加させる事がわかっています。それでは、妊娠前や妊娠中のビタミン補充が、自然流産のリスクを低下させるのでしょうか?また、補充により母親、出生、および乳児の結果が改善するのでしょうか?
ビタミン補充は、妊婦や妊娠を計画する女性に広く推奨されています。妊娠前および妊娠中のビタミン補充の普及を考えると、ビタミン補充と早期の妊娠の結果の関連性について研究することは重要です。特に、流産の原因が不明であることや、母親の栄養状態が胎児の発達に影響する可能性があることから、いくつかの論文をまとめてみました。
多くの研究の結果、以下のようなエビデンス(証拠)が得られました。
①いずれかのビタミンを補充しても、流産する女性の人数は減少しない。
②しかし、マルチビタミン+鉄+葉酸の併用群では、鉄や葉酸の単独群と比較して死産 のリスクが低下した。
③葉酸なしのマルチビタミン群、マルチビタミン群、マルチビタミン+ビタミンA群で は総胎児喪失が減少した。
妊娠前や妊娠初期のビタミンサプリメントの摂取は有益な可能性があるが、ビタミンサプリメントの摂取が、流産を予防することを示す十分なエビデンスはみらませんでした。
妊娠前や妊娠初期のビタミンサプリメントの摂取は、流産を予防しないことがわかりました。しかし、マルチビタミン+鉄+葉酸を補充した女性では死産のリスクが低下することが、エビデンスにより示されました。
妊娠を希望しているならば、栄養のバランスの良い食事と葉酸を、妊娠する2~3ヶ月前からとるように心がけておくことが、とても大切です。