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月経前症候群(PMS)によく使われる漢方薬

月経前症候群(PMS)によく使われる漢方薬としては、以下のものがあります。

 

① 加味逍遙散

PMS全般に対して、最もよく用いられる漢方薬です。中間証~虚証の患者(比較的体力のない患者)で、月経前に不安、イライラ感、不定愁訴(日によって訴えの場所が移動する)などを認める場合に、奏効することが多いです。

 

② 女神散

中間証~実証の患者(比較的体力のある患者)で、月経前に不安、イライラ感、のぼせ、不定愁訴(日によって訴えの場所が移動しない)などを認める場合に、奏効することが多いです。

 

③ 桃核承気湯

実証の患者(体力がある患者)で、PMSの症状以外にも、いわゆる瘀血の症状とのぼせや便秘を認める場合に、奏効することが多いです。

 

④ 桂枝茯苓丸

瘀血症状を認める中間証~実証の患者で、のぼせを認めるが、便秘は認めない場合に、奏効することが多いです。

 

⑤ 当帰芍薬散

瘀血症状を認める虚証の患者(体力のない患者)で、冷えや貧血傾向を認める場合に、奏効することが多いです。

 

⑥ 抑肝散、抑肝散加陳皮半夏

中間証~虚証の患者で、イライラ感が主症状である場合には、抑肝散が奏効することが多いです。より虚証で、慢性化し、胃腸虚弱の場合には、抑肝散加陳皮半夏を用いることが多いです。

 

⑦ 防已黄耆湯

中間証~虚証で、月経前の主症状が浮腫である場合に、奏効することが多いです。

 

 以上の漢方薬が奏効しなかったり、抑うつが強い場合には、PMSではなく、月経前不快気分障害(PMDD)の可能性も考えられます(その場合の治療薬は、SSRIになります)。

「月経前不快気分障害(PMDD) エビデンスとエクスペリエンス」星和書店,2017

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