①海外で、医師の処方箋なしに緊急避妊ピルが購入できるのは19カ国だけです。76カ国では、薬剤師が直接管理・保管し、販売時には薬剤師によるコンサルティングを要する制度(BPC制度)にて販売されています。この制度は日本にはありません。
BPC:Behind the pharmacy Counter 薬剤師が直接管理・保管し、販売時には薬剤師によるコンサルティングを要する薬、日本にはない制度。
②米国の高校で避妊目的でコンドーム配布したところ、妊娠件数は逆に増加しました。利用者側の知識、理解度、配布時の説明方法などが影響する可能性があるとのことです。
③薬局販売で先行した諸外国の状況を検討した結果、統計学上の「意図しない妊娠の減少」という結果は得られていません。
④欧米では確かに薬局で購入できるようです。欧米では20代の90%以上の方が経口避妊薬を使用している状況にあり、日ごろから避妊薬服用に慣れています。飲み忘れなどである程度避妊に失敗することもあるだろうということも理解している人が多いのです。
⑤(ヨーロッパやアメリカ)実際現場を見に行った医師の話を聞くと、ピルを飲むことがむしろ当たり前の感覚で教育をされているのが現状で、日本がまだまだそこまで行っているとは言えないようです。
⑥医療機関であればこの薬の処方時に適切な妊娠のメカニズム教育を行うこともできます。薬局で購入できると、その患者教育の機会がなくなります。(日本の薬剤師は、卒後の研修制度がなく、薬剤師全員が排卵や妊娠、緊急避妊薬の作用機序を理解しているか疑問です。)
⑦アメリカのように緊急避妊ピルを常時使用している女性が多数いるような社会では、これを薬局で販売しても全く問題はありません。
日本では青少年に性教育が行われているものの、経口避妊薬をなかなか使用しません。日本はそのような文化・環境なのです。しかも実際に緊急避妊薬を必要とされる方は、日常的には経口避妊薬を常用されていない人が多いのが現実です。
⑧人工妊娠中絶をリプロダクティブ・ライツ(性と生殖の権利)と捉える気持ちがまだまだ薄いと言われています。
⑨女性自身が、男性に頼らないで生きていくために、月経や妊娠・分娩に関して、正しい知識が持てるようになれば、薬局での販売もよいと考えます。