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妊産婦と SARS-CoV-2 ワクチンについて

現時点で分かっていること

厚生労働省は、令和3年2月14日に、緊急時に審査を簡略化できる「特例承認」にもとづき、正式に新型コロナウイルスワクチンを承認しました。対象は、罰則はないものの妊婦を除く 16 歳以上をとなっており、接種の努力義務が課せられています。また、米国ファイザー社のワクチン「コミナティ」の添付文書では「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること」とされております。

 

今回特例承認されたワクチンの安全性と有効性は概ね確立しておりますが、妊産婦を対象とした治験の結果は得られておらず、厳密には安全性や有効性について十分評価はなされていません。
このため、国によっても妊産婦に対するワクチンの推奨に関する記載がわずかに異なっています。すでに世界では 77 か国以上で1億7千万を超える接種がなされており、その中に妊産婦も含まれていますので、わかり次第新たに報告します。
今後、医療従事者や高齢者に対する接種が優先的に行われることになりますので、国内における現時点での妊婦への対応を参考までに日本産婦人科学会と日本産婦人科感染症学会の提言を以下に掲載します。
なお、ワクチンの接種が開始されても、ウイルスの体内侵入を防ぐためにはマスク、手洗い、手指消毒などの従来の感染予防策は続けていただきたくお願いします。

  (日本産婦人科感染症学会・日本産科婦人科学会の提言)

  1. 1 COVID-19 ワクチンは、現時点で妊婦に対する安全性、特に中・長期的な副反応、胎児および出生児への安全性は確立していない。
  2. 2 流行拡大の現状を踏まえて、妊婦をワクチン接種対象から除外することはしない。接種する場合には、長期的な副反応は不明で、胎児および出生児への安全性は確立していないことを接種前に十分に説明する。同意を得た上で接種し、その後 30 分は院内での経過観察が必要である。器官形成期(妊娠 12週まで)は、ワクチン接種を避ける。⺟児管理のできる 産婦人科施設等で接種を受け、なるべく接種前と後にエコー検査などで胎児心拍を確認する。
  3. 3 感染リスクが⾼い医療従事者、重症化リスクがある可能性がある肥満や糖尿病など基礎疾患を合併している方は、ワクチン接種を考慮する。
  4. 4 妊婦のパートナーは、家庭での感染を防ぐために、ワクチン接種を考慮する。
  5. 5 妊娠を希望される女性は、可能であれば妊娠する前に接種を受けるようにする。

患者さん一人一人の背景が違いますので、まずは産婦⼈科の主治医と十分にご相談ください(20210218)。

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