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授乳中の食事に疑問

母乳にいい食べ物で母乳哺育を

 母乳に良い食べ物、悪い食べ物というものはありません。質の良い母乳は健康な体から作られるので、大切なのはバランスよく食べること。特定の食べ物を意識的に食べるのではなく、栄養をまんべんなく摂るよう心がけましょう。とはいえ、育児に追われる中で毎食栄養バランスを考えて作るのは大変ですよね。いろんな食材を使った簡単レシピの工夫や、惣菜、宅食なども活用しながら、できる範囲で栄養バランスを整えましょう。コロナが落ち着いたらたまには外食でストレスを発散しつつ、楽しみながら食事の管理をしていければいいですね。

 授乳中の食事では、これって本当かな?ウソじゃないの?と思うことも多いようです。母乳は赤ちゃんが飲むものなので、もし本当だったら……と心配になる事もあると思います。そこで、耳にすることの多い食事と母乳にまつわる説の真偽について考えてみましょう。


脂っこいものを食べるとおっぱいが詰まるって本当?

母乳にいい食べ物に関する迷信もある。油っぽい食べ物のとんかつ。バタークリームたっぷりのムニエルなど・・・。しかし、脂っこいものを食べてもおっぱいが詰まることはありません。母乳の詰まり(=乳汁うっ滞)の主な要因は、母乳の分泌が多すぎる、授乳ポジションや吸着が不適切、授乳回数が少ない、授乳の間隔が開きすぎる、急な断乳などで、食事との関係はないと最近は考えられています。

辛いものを食べたらおっぱいがからくなるって本当?

このような説も聞かれることが多いですが、からいものを食べたからと言って母乳までからくなることはないです。からいものに限らず、「これを食べたらこうなる」というような医学的根拠はありません。

1日3食魚を食べるよう言われた?

母乳にいい食べ物で鰯などの魚はいいが、バランスが大切。
このような食事のアドバイスを受けることもあるようですね。もちろん、魚は栄養価が高くヘルシーな良い食材ですが、毎食である必要はありません。近年では昔ほど頻繁に魚を食べなくなってきたので、意識して食べようということでしょう。動物性食品もしっかりとる、という意味でとらえればよいと思います。

和の粗食を心がけるべき?

こちらも、医療機関ですすめられたり、育児書にも書かれていることが多い食事のアドバイスですね。和定食は出汁をうまく使っているので基本的に薄味で、不足しがちな副菜もしっかりあるので、健康のために参考にしたい食事内容と言えます。このような理由から、和食を心がけてというアドバイスが多くされるようになったのだと思います。主食、主菜、副菜、乳製品、果物をバランスよくとり、あまり濃い味付けにしないよう努めれば、必ずしも和食である必要はありません。

「母乳と食事に関しては、都市伝説のようなものや、国や地域の食文化によってもことなった意見があったりするため、本当にいろいろな情報が飛び交っています。けれど、哺乳動物である母体には、何をたべても母乳の成分や量を一定に保つ機能があるのです。母乳のために食生活に気をつけるのではなく、お母さんが健康的に育児できるようにしっかり食べ、飲もう、と考えてください。

 

参考文献 内閣府 食品安全委員会「食品中のカフェイン」
     厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」 「日本人の食事摂取基準(2015)」

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