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教えてDr.

「20歳代以降は9価ワクチン(シルガード)がお勧めです。

 子宮頚癌ワクチンの定期接種年齢より上の年齢の方は、どのワクチンを打っても自己負担ですが、あえて、子宮癌の予防効果が高いHPVタイプが多い9価ワクチンをお勧めします。

ただ、費用が他のワクチンより高い(10万円前後)こと、今の時点では接種医のところで被接種者の情報を事細かに登録する必要があることを納得していただいた上で、接種しています。

 9価ワクチンに関して最も信頼できる新しい報告(MINT study)では、登録された子宮頸がん、前がん病変の患者さんを対象としてありますが、同ワクチンを接種していた30歳代の方のワクチンタイプのHPVが原因となる高度前がん病変や浸潤がんが約90%予防できていることが明らかになりました(Cancer Sci. 2020; 111: 2546-2557.)。

 この母集団における、30歳代の子宮頸部異形成(CIN)のHPV16と18の陽性率は約6割くらいです。既に感染してしまったHPVタイプによる病変は防げないのですが、9価ワクチンにより感染していないタイプのHPV感染を防ぎ、子宮頸がん予防効果が見込めるために、少し上の年代の方には9価(シルガード)がお薦めです。

 20歳くらいまでですと、若年発症の子宮頸部異形成(CIN)・子宮頸がんの7~8割はHPV16、18が原因なので、2価あるいは4価ワクチンで十分予防効果が期待できると考えられます。

 20歳代では先に述べたように、9価ワクチンで85-90%くらいのHPVタイプがカバーできるので、定期接種年齢から遅れてしまった20歳代以降の方にも選択肢として望ましいかもしれません。産婦人科医主治医と納得いくまでご相談ください。うしじまクリニックでも予約を受け付けています。

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