HPV(ヒト乳頭腫ウイルス)感染は性交渉によって男女間で感染を繰り返すため、男女にワクチン接種をすることで感染の広がりを抑えることができます。
本人の感染による病気(子宮頚がん)の予防だけでなく、自分が感染源とならない手段でもあります。
男性もHPV感染が原因で、肛門がん、陰茎がん、中咽頭がんなどの悪性腫瘍のほか、尖圭コンジローマも発症します。このようなHPV関連病変の予防を目的として、オーストラリアやメキシコなどでは、男性のHPVワクチンの接種が承認されています。
今後は、パートナーに感染させない、ひいては子宮頚がんにならないために、男性が率先してHPVワクチンを打つべきです。
前述のようにHPVは、男性もかかる病気(肛門がんや陰茎がん、中咽頭がん、尖圭コンジローマなど)の原因になります。男性がHPVワクチンを接種することにより、これらの病気を予防することができます。
接種タイミングは、HPVに感染する機会となる性交渉を経験する前に、HPVワクチンを接種することが勧められています(HPVは一度でも性的接触の経験があれば、だれでも感染する可能性がありますから)。
アメリカでは、30歳以上の女性は細胞診(子宮頸がん検診)とHPV検査を併用して受けるように勧められています。
細胞診はヒトの目で検査を行うため見逃される可能性がありますが、HPV検査は取りこぼしが少なく、もしHPV検査で陽性になった場合でも、今後病変が生じてくる可能性があるので、1年後に再検査を受けるように推奨されています。
また、ヨーロッパの主要国では、先にHPV検査を実施して、HPV陽性者に対して二次検査として細胞診(子宮頸がん検診)の実施を推奨する動きがみられています。
日本では、細胞診で軽度病変疑い(ASC-US)となった場合に、HPV検査を受けることになっています。これは、細胞診の検査(子宮頸がん検診)が2年に1回助成されるため、その方が経済的であるとの考えからです。
性交経験のある女性なら50%程度の人がハイリスクHPVに感染すると言われていますので、陰性の結果であれば、子宮頸がんワクチンの予防接種を受ける選択肢ができます。HPV陽性であったとしても、子宮がん検診(細胞診)を受ける間隔を短くすることで、早期に前がん状態(癌の一歩手前)を発見することにつながります。前がん状態で見つかれば、レーザー手術などの処置で(30分ほど)、根治も可能です。