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ハンガリーの手厚い少子化対策に日本も学べ!

 ハンガリーの少子化対策の一つとしてまず挙げられるのは、何に使ってもよい無利子ローン。妻の年齢が18歳から40歳までの夫婦は、国から日本円で約350万円を無利子で借りられる。返済期間は最大20年で、最初の5年間に少なくとも1人の子どもが生まれた場合、返済が3年間猶予される。第2子を出産すると、さらに3年間の返済が猶予されるうえ、元本の3割が帳消しにされる。第3子を出産するとローン残高のすべてが返済免除となる。理論上は、3年ごとに子どもを3人産むと借金がゼロになる。ただし、最低3年間は正規就労(医療社会保険料を納付)しなくてはならない。
  マイホームを買うための補助金。こちらも子どもが増えるたびに得をするシステム。1人の子どもを持つ家庭が面積40平方メートルの共同住宅か面積70平方メートル以上の一戸建てを購入する場合、約27万円の補助金が現金支給される。子どもの数が増えると補助金額も上がり、3人以上の子どもがいる家庭が60平方メートル以上の新築の共同住宅か90平方メートル以上の一戸建てを購入する場合は約450万円が支給される。
 

所得税、学生ローンの優遇

 子どもがいる母親は、所得税も優遇される。ハンガリーの所得税は一律15%と、EU諸国の中でもかなり低く、代わりに消費税が27%と世界最高レベルの高さ。とはいえ、4人の子どもを持つ母親は、生涯所得税を払わなくてよい。
 免除の対象はそれだけではありません。若者の経済的負担を軽減しようと、2022年から、25歳未満の若者は男女関係なく、また、子どもの有無にかかわらず、所得税が免除されるようになった。
 さらに、今年からは、満30歳の誕生日を迎える前に子どもを持った母親は、30歳になった年の12月31日まで所得税が免除になる。未婚、既婚、ひとり親にかかわらず、出産前でも免税になる。また、養子縁組をした母親も免除になる。
 また、大学の学費の学生ローンを借りている女性が第1子を妊娠した場合、出産後3年間はローンの返済を休止することができる。そしてその後第2子を出産した場合は、返済額の半額、第3子を出産した場合は全額が免除される。また今年からは、30歳未満の女性が大学在学中、または終了後2年以内に第1子を出産した場合、それ以降の学生ローン返済が全額免除されることになった。
 

祖父母にも育児手当

 もう一つユニークなのは、孫の面倒を見る祖父や祖母にも、孫が2歳になるまで育児手当が支給される。ハンガリーでは子どもが生まれると、母親か父親に「育児手当」が給付されるが、親が仕事に復帰した後は、家庭で孫の面倒を見る祖父母に手当が出る。
例えば、子どもが1歳になって母親が仕事に復帰した場合、その母親は育児手当がもらえなくなるがその後は、子どもの世話をしているおじいちゃんかおばあちゃんが、育児手当がもらえる。日本円でひと月約8万5000円になる。
 

若者に手厚い経済支援をする理由 30才までにお産を

 早く結婚して若いうちに第1子を生むと、第2子、第3子と生む可能性が高まり、少子化対策に効果があるといわれている。できるだけ早く、母親が30歳までに第1子を出産すると、2人目、3人目を出産する可能性が高まることが、複数の研究から明らか。初婚年齢が低いほど子どもの数は多くなる。日本も少しは見習いましょう!

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