多くは性交後1時間以内に以下のような症状が出現します（数時間後のこともあります。）。

外陰部～腟の症状：かゆみ、浮腫、疼痛、灼熱感、蕁麻疹など
全身症状：急激な発熱・発汗・鼻閉・眼のかゆみ・筋肉痛
蕁麻疹、喘息発作、呼吸困難、アナフィラキシーショックなど
そして、きちんとコンドームを装着した性交では、これらの症状は起こりません。

 

精液アレルギーの起こるメカニズムは？

精液は、精子と精漿とからなります。
精液アレルギーは、精漿中のある糖蛋白（前立腺特異抗原という酵素？）に対するアレルギー反応（即時型アレルギー）と考えられています。
非常にまれな疾患ですが、背景にアトピー体質があることがほとんどです。また、遺伝との関連も言われています。

多くは複数のパートナーにアレルギー反応を起こしますが、特定のパートナーの精液のみに反応する女性もいます。
初めての性交でアレルギー症状が出ることもあります。また、同じパートナーと長年の性行為で突然発症することもあります。

 

診断方法は何ですか？

精漿に対する感作はプリックテスト（抗原溶液を針で傷つけた皮膚にたらして15 ～ 30分後に同部の腫れ・赤みの有無）、特異的IgE抗体検査（精漿とCan f 5に対するIgEを測定）することもあるようです。

 

治療はどうするのですか？

①挙児希望のない場合は、コンドームを使用する。
②挙児希望のある場合は、症状が軽度の場合、性交の１時間くらい前に抗ヒスタミン薬を内服または塗布する。
③人工授精（アレルギー反応が起こることがあります）
④体外受精などの生殖補助医療（アレルギー反応が起こることはありません）
⑤脱感作療法；１０００倍、１００倍、１０倍の３段階に希釈した精液２ｍｌを２０分間隔で腟内に注入します。過敏な反応を抑える治療です。その後、週に２回の性交を持ち続けます（大学病院や専門医での治療になります）。