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教えてDr.

14年目のナイストライ

2015年10月12日

14年目のナイストライ

私の産婦人科医院は、毎年近隣の中学校の職業体験 「ナイストライ」事業に協力している。

 はやいもので、開業当初から、ほぼ20年間にわたり女子中学生に限って産婦人科医院での職業体験のお手伝いをさせていただいている。今年も、4人の女子中学生が3日間の体験学習にやってきた。

 2人ずつ、病棟と厨房とに分かれてナイストライをしてもらう。 

病棟ではトイレやシャワールームの掃除から ベッドメーキングや サニタリーの整理整頓 リネンの補給、赤ちゃんの寝間着の洗濯、その他の洗濯物をたたんだり、その整理整頓はもちろんのこと、それらの作業ごとに行うウェルパスでの手指消毒が、院内感染が原因の日和見感染の予防等にもつながることを説明し、理解してもらうように心がけている。 

 厨房での調理のお手伝いも経験してもらっている。包丁を使うのが初めてだったり、料理をまったくしたことがなかったりはすぐに分かるとのこと。つわりや消化器疾患合併妊娠での入院患者さんへのおかゆや流動食の配膳(暖かいとにおいがつわりをひどくすることがあり、少し冷めてから運ぶなど)、日頃から食欲が増すような細かな工夫(夏場はブルー系、冬は暖色系の器)、清潔な食器やその配置具合など、食器の返却(つわりの患者さんもいるので手早く回収)、食洗機の稼働などなど。細かなことに気を配ったことがないのだろう、中学生には、訳も分からず驚きのようだった。
最終日には、厨房のお手伝いをしてもらったお礼に昼食をごちそうしている。

 さらに、女性として(将来母になる時には)ほんのちょっとだけれども役に立つかもしれない体験もしてもらっている。まず、お母さんの承諾があれば 生まれたばかりの赤ちゃんをだっこしてもらう。次にナースの指導のもと 心音を聴取したり、沐浴のお手伝いをしたり ミルクを飲ませたりすることを経験してもらっている。昔のように大家族の生活を知らない子がほとんどで、赤ちゃを見るのも触るのも初めての子も多い。赤ちゃんを身近に感じることによって、その愛おしさや、自分自身もこんなに手間暇かけて母に育ててもらったことに気がついてもらえれば、うれしい。

 体験学習後の感想文を読むと、この経験から看護師になりたいという女子中学生が結構多いことが分かった。看護助手さんの「清潔なトイレで母がストレスなく過ごせることが、母親が赤ちゃんに気持ちの余裕を持って接することができ、ひいては赤ちゃんの健康につながる。」と言う話に感心していた。適切で親切な看護や介護、育児の大切さを中学生のうちから少しでも感じてもらえれば喜ばしい。若いときから介護や看護、思いやりの心が育まれるナイストライは大変意義深い事業だと再確認した。

最終的に看護や介護などへ進む人材が増え、医療関係に寄与することに繋がればもっといい。

 最終日、今年の4人も楽しい経験ができたようだった。最後に分かったのだが、なんとこの4人のうち3人が13~14年前に当院で生まれた子供達だった。毎日の忙しさに追われていた時に、ふと何か感慨深いものを覚えた。最後に4人と握手をして一緒に記念写真を撮った。みんな背が高かった。そう言えば、数年前には中学生の時、このナイストライで当院を知りお産をしてくれたお母さんもいた。今年の10月には当院で生まれた20才のお母さんが、里帰りでお産に帰ってくる予定だ。イクラが鮭になって帰って来る。

地域医療に貢献すると言うことは、こういうことなのですね・・・。